この文書は27期が執行のとき現在の四指針を作ったときに作られたものです。
  


「我がクラブの方向性」

 二十世紀後半、アポロ計画をはじめとする宇宙進出の成功や彗星の往来など、多様なメディアを通じて、一般の人々にも多くの宇宙の姿が知られるようになってきました。
 その様な時、第九期の先輩方により、今の天文研究会の基盤が創設されました。草創期から現在に至るまで、私たちは天文研究会規約を基調とし、期を重ねる毎に成長、発展してきました。その規約の第三条を紹介させていただきます。

 「本会は建学の精神に則り、広範にわたる科学により裏付けられた天文学を学び、その学術的研鑽はもとより、古代より宇宙事象に対峙し、調和や個人の存在など思索した哲人について等、総合的に学んでいくことを旨とする。」

 そもそも創価大学は、創立者池田先生の御理想である建学の精神のもとに創られたものです。その創価大学の中の一クラブとして、私たち天文研究会も建学の精神を学び、一つ一つの活動の源流としていかなければなりません。歴代の先輩方もその想いで活動してこられました。他大学との天文研究会との違いはここにあると思います。
 ときに、クラブとは、部員一人一人の歯車がかみあえば、どのような事でも成し遂げることができ、お互いが触発しあっていく中で人間を形成し、今一歩踏み出せない弱い心や、一つの組織を形作る難解さの試練に立ち向かうことで、自己成長の場として様々なことを学んでいくことができます。また、どんなに辛いことでも、皆がいるという信頼のもと、クラブとしての魅力として転換させ、深い絆を勝ち得、主体的に働いただけ、育つものは大きくなって返ってきます。そして、強い結束力は何より楽しい場をつくりあげます。これらを踏まえ、創価大学の学生として誇りを持ち、社会挑戦への基礎基盤を築き上げ、自他共に成長することも、創価大学のクラブとして目指すべきところではないでしょうか。
  また、次に創価大学天文研究会として見たとき、まだ大学内での知名度が低い今、学内活動での着実な実績を築き上げていくのはもちろんのこと、学外活動で大きな実績をあげ、大学内外に私たちの存在を広めていきたいと考えています。「宇宙」という全世界の人々が共有できるところから感動を分かち合うことができたらどんなに素晴らしいことでしょう。そして、私たちから大学へと共感を還元し、「創価大学に天文研究会あり」といわれるようなクラブにしたいです。
 私たちのクラブには、過去数回創立者から激励として天体望遠鏡を頂きました。最近のものでは、昨年の平成十年十二月に頂いたばかりです。私たちは感謝の思いを忘れず、まず自分が楽しみ、皆に観望してもらう、また、自己の研究向上のために使いこなせるようになっていかなければと、この頂いた意味を考えました。これは私たちにとって、あくなき探究心と向上心を抱き、より一層クラブに磨きをかける大きな良い機会でした。個人が、何のため、という一点を忘れずに行動していくことを、私たちは目標として掲げました。
 今までに、創立者は数々の著名な天文研究者と対談されています。中には、大学を訪問され、私たちと懇談してくださった方もいらっしゃいます。これは部員にとってクラブ活動の原点となりました。深い感銘を受けた私たちは、更なる活動への飛躍としていきました。   そして今、これらのクラブの歴史を振り返り、創立三十周年を目前にし、私たちは部員一同再び創価大学天文研究会としての理念を確かめ合い、そしてそれを後世へと受け継いでほしいとの想いから、クラブの再出発として確固たる指針を築き上げました。

一、人間教育
一、天文学の追求
一、天文学をより多くの人に伝える
一、天文学を通しての平和

 一つ、クラブと学問が結びついた時、本当の人間形成の完成ができる、と創立者もおっしゃっている。活動を共にすることで、同期や先輩、後輩との信頼関係を築き、切磋琢磨しあい、人間的結びつきを確立させていく。人間を基調とした学問探求は大前提である。また、組織における役割を担うことで、社会に旅立つ前に自己発掘する、そして自己を鍛えるための挑戦する心を養い、社会に必要な価値の創造、提供、還元を培うことを目標とする。
 一つ、創価大学における天文研究会として恥じないだけの知識を身に付けることは然るべきことなのである。ただ知る、というのではなく、基礎的知識からの探求に始まり、展開させ、豊かな発想と視野の上から真理を求めていく。
 一つ、私たちは、創価大学天文研究会として得た天文学の素晴らしさ、宇宙の魅力等をクラブ外の人に伝え、そして感じ取ってもらいたい。様々な人と接し、対話や共感を重ねていく中で、個人やクラブの成長、そして発展を願うものである。
 一つ、未来に平和を願う心は、人類にとって消えることのない灯である。太古の昔から多くの人々が思いを馳せてきた宇宙にも、様々な願いが託されていた。天文学は、世界共通の学問である。この共有できる学問と宇宙は、万物を平和へと導く道標である。天文と平和は遠いものではない。私たちはそれぞれの平和観を見据え、広大な宇宙の中の私たちの平和を天文学の立場から考え、そして世界的に飛躍できる世界市民の一員として、培ったすべてを基に築き、訴えていきたい。
 以上の四つの活動方針を根底に、五十年、百年後も、受け継いだ伝統に新たな伝統を加え、更なるクラブの発展を遂げていってほしいと思います。そのためにも、今いる私たちが、広大な宇宙の中での自己を見つめ直し、争い事の儚さを知り、自分たちの可能性の種を蒔き、道を拓いていく決意です。創立者が、私たちの活動に不可欠な望遠鏡を、どのような想いで下さったのか、また、どれほどの想いをクラブにかけてくださっているのかを常に忘れず活動に励み、卒業後もこのクラブで得た財産を活かし、社会に貢献できる人材に成長していきたいと思います。